今回の”What's New ”のコーナーは、大阪北新地の割烹「さか本」さんの鮎料理と、ランニングマガジン「クリール」掲載されたランナーの腹痛という特集を紹介します。
「さか本」さんの鮎
毎年6月が始まると大阪北新地の割烹「さか本」さんは、鮎をお目当てのお客さんで込み合います。普段でも食通で込み合うミシェラン星付きのお店ですが、この時期は特別です。
鮎は奈良県天川村から生きたままお店に届けられ、奥の水槽に入れられます。ご主人(大阪のお店では、おやっさんと呼ばれます)の坂本靖彦さんもこの時期は毎週日曜日は天川村で鮎釣りです。
ピチピチと跳ねる鮎は、西瓜の香りがします。その鮎に串を打ち、20分程かけて丁寧に焼き上げますと、頭まで柔らかくなり丸ごと食べられます。時期によっては鮎の背ごしや、一夜干しも賞味できることがあります。
こちらの鮎の塩焼きを頂くと、これまでの鮎が嫌いだった人もその考えを変えると評判の料理です。
このお店ではおやっさんが毎日その日の献立を書いて、張り出されます。そして食材がなくなれば、順に消されていきます。
鮎料理は毎年特別に色紙に書かれて供覧されます。
坂本さんは料理人としての秀でた腕、感性と風格を備えているだけでなく、その人柄にも素晴らしいものがあります。だからこのお店では、おやっさんの前の席が一番先に予約されてしまいます。
店に来た全てのお客さんに気を配りながら、素晴らしい包丁さばきを見せてくれます。
お店の奥には水槽があり、鮎が元気に泳ぎ回っています
串を打った鮎は渓流を泳いでいるような迫力です
共釣りではこのような形で鮎が釣上げられます
じっくりと焼き上げられた鮎の塩焼き 蓼の葉、酢生姜、酢蓮根が添えられています
好みで蓼酢でもいただけます。
鮎の背ごし(頭、ひれ、ワタを取り、筒切りにした刺身)と取った部分のから揚げ
最後に筆者の好物、オコゼの薄造りを紹介します。薄造りにできるようないいオコゼはいつも手に入るわけではありませんが、おやっさんが頑張って仕入れてくれています。
黒い部分は湯引きした皮、ピンクは生の肝、他に湯引きした軟骨や縁側なども供されます。
北新地 割烹「さか本」
大阪市北区曽根崎新地 1-1-12 GOTS北新地ビル6号館1F(堂島上通り)
TEL 06-6348-1588 (予約お勧め)
ランナーの腹痛、原因と対処法
ランニングマガジン「クリール」2010年4月号、筆者監修記事抜粋
走っていると急にお腹が痛くなるということは、ランナーにとっては珍しいことではありません。またその痛みのことで診療所に相談に来るランナーもあります。ランニングに伴う腹痛について、その部位別に考えてみましょう。
1 右脇腹
この部位の痛みはよく問題になります。かなり強い痛みが走り始めると出るとか、スピードを上げると出現すると訴えます。ここには肝臓、胆嚢、横隔膜がありますが、ランニング時のここの痛みは横隔膜の痛みだといわれています。ランニングで重い肝臓が大きく揺れるために横隔膜が引っ張られ、そのために強い痛みが出ます。ちなみに肝臓はたとえ大きな癌ができても、強い痛みが出ることは殆どありません。
この痛みは、どちらかというとビギナーに多いようです。トレーニングを積むことによりだんだんと出なくなります。上下動の少ないスムーズな走りができるようになり、また腹部や下肢の筋肉が発達して無理な身体の使い方が改善されるからです。
2 左脇腹
ここには脾臓と、大腸の脾湾曲部と呼ばれる部分があります。脾臓は血液を一時的に貯めておくスポンジのような臓器で、急に運動するとここが収縮して貯めてある血液を全身に送り出します。この時に痛みを感じるのです。痛みを防ぐためには走る前に十分アップをすることと、普段の練習で心肺機能を鍛えておくことです。
今ひとつは大腸の痛みです。ここで大腸がヘアピンカーブのようになっていて、ガスや便がたまりやすい部分です。キューと腸を捻られるような痛みが突然出たりします。予防は便通をよく整えることと、お腹を冷やさないことです。
3 上腹部中央
みぞおちなどと呼ばれますが。医学的には心か部と言います。殆どが胃の関係する痛みです。胃の裏には膵臓がありますが、体動で膵臓が痛むことはまずありません。ランニングで胃が強く震盪されたり、腹圧がかかったり、胃に行く血液の循環が悪くなるので、胃が痛みます。
走る前の食事の摂り方に注意することが大切です。直前に胃に長く停滞する食品を避け、また刺激物もよくありません。
4 下腹部
殆どが大腸の痛みです。とくに左側は大腸の最も肛門側ですから、便秘や下痢などの時に一番痛みが出やすい部分です。便通を整えることが最課題です。
右下腹部には虫垂(盲腸)がありますが、走って虫垂炎が出ることはありません。但し走る前から右下に痛みがあり、走るとお腹に響いて非常に痛む場合は、虫垂炎の可能性があります。