今回の”What's New ”のコーナーでは、東京マラソン2008の銀座浅草間の巡回走と、肥満に関する新しい知識NEATの話をお届けします。

東京マラソン2008

今年の東京マラソンでは、日医ジョガーズは3班に分かれて医療巡視(ランニングパトロール)行いました。
(1)通常マラソン班 新宿都庁前のスタートからゴールまで走る班で、50名
(2)巡回走品川班 日比谷公園から品川までの往復コースを巡回、約25名
(3)巡回走浅草班 銀座四丁目から浅草までの往復コースを巡回、約25名

私と家内は今回、巡回走の浅草班の担当でした。

今年の東京マラソンでは、銀座から浅草までの巡回走を担当しました。志願したとはいえ、はっきり言ってあまりテンションが上がりませんでした。当日のよく晴れた青空を見て、余計残念な思いでした。でも実際に走ってみると、まんざらでもありませんでした。


日比谷公会堂から出発して銀座四丁目に行き、そこから浅草までの往複コースの巡回です。初めの1周はキロ5分を切る集団の中で走りました。銀座の大通りを、快調にしかも気持ちよく飛ばすことができました。まだあまり混み合わず赤い風船が目立つせいか、あちこちから声援を頂きました。途中の救護所を外から覗いても、誰も人はいないようです。

2周目は遅いランナーの中を、ゆっくりレースを楽しみながら走りました。歩いている選手も増えています。きょろきょろと周りを見ながら、写真を撮ったり、アトラクションを見物したりしながらの巡回です。コース上には選手が溢れてスピードが出せません。混雑した中では風船が邪魔で、露骨にいやな顔もされてしまいました。でも声援に応えたり挨拶したりする余裕が、いっぱいあります。選手同士のコミュニケーションも盛んです。足の痙攣などで立ち止まる選手も増え、大会関係者から診てあげて欲しいと頼まれたりしました


結局、浅草までを2往復して引き上げましたが、十分に東京マラソンを堪能しました。巡回走は初めての経験でしたが、レースではなく大会そのものを楽しむことができると同時に、医療監視班としても集中できたように思います。でも来年は抽選に当たって走りたいというのが本音です


肥満に関する新しい知識

NEATnon-exercise activity thermogenesis

一日の総エネルギー消費量は、安静時の新陳代謝率(基礎代謝率)、熱産生率(放出率)、及び身体活動によるエネルギー消費率とで構成されています。そして身体活動によるエネルギー消費率は、スポーツなどの意図した身体活動によるエネルギー消費率と、姿勢の維持などに使われる意図しない身体活動によるエネルギー消費率とに分けられます。

基礎代謝率は全体の5070%を占め、身体全体の機能維持に必要なエネルギーを意味します。熱産生率(放出率)は体温の維持に必要なエネルギーで、人間は衣類などで保温するので全体の10%程度です。残りが身体活動によるエネルギー消費ですが、今までこれを増やすためにスポーツなどの運動が奨励されていました。最近、もうひとつのNEATと呼ばれるエネルギー消費が注目されています。

2005年のScience誌に興味深い研究結果が掲載されました。やせたカウチポテト族と肥満のカウチポテト族でのNEATを測定比較しました。両者で睡眠時間の差はありませんでしたが、立位または動いている時間がやせた群で12.5時間多く、NEATの差で350kcalありました。その後8週間、やせた群にはカロリー摂取を増やして体重を増加させ、肥えた群に制限して体重を減少させました。しかし1350kcalNEATの差は持続しました。

これらの結果は、じっと横にならないことがNEATの増加に繋がり、肥満の防止に有効であることを示唆しています。電車の中でも肥えている人に限って、すぐ座席に座るのを目にします。身体が重いので座りたがると思っていましたが、すぐに座るから肥えたという可能性があります。何をする時でもできるだけ立っていることが、NEATを増やして肥満防止に役立つと言えそうです。また最近はやりの乗馬フィットネス機器に乗りながらテレビを見ることも、結構その効果が期待できそうです。