マラソンに参加することは、いろいろと楽しいことが随伴します。旅行を兼ねて各地のマラソン大会に出かけ、その土地ならではのコースや名物料理を楽しむということも、その一つです。今回の”What's New ”のコーナーでは、静岡の掛川新茶マラソン、ソウルの小児がん撲滅チャリティーマラソンに続く第3弾として、今年からフルマラソンになった黒部名水マラソンの様子を紹介します。


第31回カーター記念黒部名水マラソン

 黒部名水マラソンは今年で第31回という伝統のある大会ですが、これまではハーフマラソンでした。何とかフルマラソンにしたいとの地元の願いが、来年の新幹線開通を前にしてようやく叶いました。
 これを機に安全面でも一層の強化を図りたいとのことで、日医ジョガーズに強い医療支援要請がありました。その結果、各地から22名の会員医師がこの大会にランニングドクターとして参加しました。

 このマラソンの第1回大会では元アメリカ大統領のジミー・カーター氏がスターターを務めました。警備からは絶対に走らないように言う指示でしたが、彼はスタートの号砲を鳴らすと、すぐに走りだしたというエピソードがあります。

 前夜祭では高橋尚子選手、富山出身の野尻あずさ選手、東京オリンピック・マラソン15位だった寺澤選手がゲストとして紹介されました。

 野尻選手はその後の日医ジョガーズの懇親会にも参加してくださいました。

コースは黒部市の総合体育センターをスタートし、黒部駅前から宇奈月に向かい、黒部川沿いに戻る周遊コースです。

 

 前半はゆっくりした上りのコースで、まだ多くの雪を被った山々に向かって走ります。来年3月に開通する北陸新幹線の黒部宇奈月駅は、もう大分出来上がっていました。黒部川の堤防をしばらく走ると折返し点です。


 この日は暑くなることが予想されていました。でもさすがに救護所で31℃と書かれているのを見ると、げんなりしました。途中のエイドでアイスに出会った時の嬉しさは、言葉に表せません。この地方は麦畑も多く、丁度色づいた時期でした。麦畑の中を、剣、立山連峰をバックに走るランナーは絵になります。


 38㎞地点で急に海の香りがして、日本海に出ました。あと少しです。最後は漁師町の中を走り、途中で茹でたホタルイカを串にさして酢味噌をかけたご馳走が振る舞われました。

 この日は暑かったので、殊更ゴールが遠く感じました。
 いつもながらフルマラソンのゴールは感慨深いものがあります。


 この日は暑かったので熱中症のランナーが何人か出て救急搬送されたそうですが、みなさん大事には至らなかったそうです。

 ゴール会場では、カニ鍋と豚鍋の2種類の名水鍋が振る舞われ、名物の鱒寿司と名水ダンゴも戴きました。
 新幹線が来年開通すると東京方面からのアクセスが便利となり、今後人気が高くなると思われます。



小児がん撲滅ソウルチャリティーマラソン

 日医ジョガーズ(JMJA)は10年以上前から韓国医師ランニングクラブ(KDRC)と交流をもっています。その交流活動のひとつに、KDRCが主宰する小児がん撲滅ソウルテャリティーマラソンへのJMJAからの派遣参加があります。
 韓国でも5月5日はこどもの日の休日で、マラソン大会はこの日に合わせて開催されます。私も2006年に初参加して以来、今回で5回目の参加となりました。

 韓国では4月16日にフェリーの沈没事故で、300人以上が亡くなったり行方不明という惨事が起こりました。
 まだ捜索活動が続く中、ソウル市庁の前には献花台が設けられ、大勢の弔問の市民が列を成していました。市民たちは黄色いリボンに祈りの言葉を書いて、結びつけていました。

 こどもの日の翌日はお釈迦様の誕生日で、韓国ではこの日も休日です。
 観光スポットとして有名な清渓川にはお釈迦様に因む飾り付けが行われますが、今年は人出が例年より少ないようでした。


 今年の小児がん撲滅ソウルテャリティーマラソンは事故の影響もあり開催が危ぶまれましたが、チャリティーマラソンなので連年通り行われました。
しかし参加者はいつもより2000人ほど少なかったそうです。


 コースはソウル市の南部を走る大河、漢江の河川敷公園のサイクリングロードで行われました。フルマラソン、ハーフマラソン、10㎞、4㎞などの種目が、時間を少しずつずらしてスタートします。
 写真右の建物は韓国の国会議事堂です。



 この大会には2006年に初めて参加しました。その頃は漢江の河川敷が土や草で荒れていましたが、今はきれいに整備されて市民の憩いの場所となっています。
 高層アパート群とソウルタワーが立つ南山が見えてくると、そろそろゴールです


 走り終わると宴会が始まるのも韓国流です。私達にも韓国のドクターがビール、マッコリ、焼酎と食べ物を用意してくれていました。


 前日にはKDRC会長でチャリティーマラソン大会長でもある李先生(右)が、私達のために歓迎会をしてくださいました。
 彼が着ている黄色いシャツの左右の袖には、KDRCとJMJAのマークが入っています。

 
 またレースの翌日には仁寺洞の山村という野菜と山菜料理のレストランに行きました。僧侶だったという方がやっておられるお店で、ソウルに行けば必ず訪れます。


 韓国南部の珍島沖でのセウォル号沈没事故のため、何となく韓国全体に少し元気がないような気がしました。まだ行方不明者の捜索が続いている状況下ですので、それも仕方ないかと思いました。
 しかしKDRCの友人たちがいつもと変わらない歓迎をしてくれたことは、大きな喜びでした。



第9回掛川新茶マラソン

 掛川新茶マラソンの前身は小笠掛川マラソンで、その時代に一度参加したことがあります。市町村合併で掛川新茶マラソンとしてリニューアルし、今年で9回目となります。茶畑の中を走る大会として有名です。

 掛川市は掛川城の城下町で、その掛川城はかつて山内一豊が藩主を務めたことで有名です。
 スタート会場では伝統芸能が披露され、おいしい新茶が振る舞われました


 美しい茶畑の中を走ることは本当に爽快ですが、アップダウンはそれなりにあります。


 里に出るとコースの脇にはレンゲの花が咲いていました。
 しばらく行くと、今度はスミレの花が咲いていました。
 童謡の「春の小川」の歌詞を思い出し、何となく楽しくなってきました。

 駿河湾に面した海岸沿いには大きな風車が並んでいます。この辺りは風力発電が盛んな地域です。


 この大会のもう一つの名物は、この地域で盛んな果樹栽培農園で作られたフルーツを出すフルーツステーションです。イチゴ、メロン、キウイ、オレンジなどがたっぷり供されました。


 ゴール会場ではいろいろなご当地グルメのブースがたくさんありました。本物のメロンを使ったメロンパン、静岡餃子、富士山焼きそばなど珍しいものもあり、大いに楽しめます。一度参加されてはいかがでしょうか。