大阪マラソン、神戸マラソンに続き、奈良マラソンが12月14日に開催されました。奈良マラソンには過去2回出ていますが、その良さがよくわかりませんでした。今回の”What's New ”のコーナーでは、その様子をお伝えしその良さを考察します。
 震災から20年目の感謝と友情をテーマの神戸マラソンと、最後尾からの大阪マラソンも引続き掲載しています。


「奈良マラソンの良さ」を考察する

 日本列島を寒波が覆った12月14日、奈良マラソン2014が開催されました。過去2回この大会に出ていますが、必ずしもまた参加したいという気がしないのに、また行こうと思う不思議な大会でした。
 そこで今大会では「奈良マラソンの良さ」を意識しながら、ランニングドクターを務めました。

 第1回から使われている鹿の顔とランニングシューズを組み合わせたロゴマークは、今も好評です。
 また最初不人気だったせんと君も今は人気者です。


 奈良マラソンはフルマラソンが12000人、10㎞が4000人の参加者です。
 大型都市型マラソンではなく。また地域密着型のローカルマラソンでもありません。
 どちらの良さも兼ね備えていると言えますが、一歩間違うとどちらの悪さも出てしまいます。今回の奈良マラソンは、前者でした。

 古都奈良で開催されるマラソン大会であること自体、それは魅力です。
スタートすると二条大路(左)を平城京跡に向かって走ります(中は朱雀門)。折り返すと奈良公園横を、前に若草山、右に国立博物館を見て東大寺前を右折です。


 鹿の姿もコースから見る事ができます。 また奈良には柿の木が似合います。レース後の柿の葉寿司も楽しみです。


 「奈良マラソンの良さ」で一番は、地元の熱い声援です。今大会は走っていても寒い中を、大勢の地元の人たちが長い間応援してくれました。
 また私設エイドも多く、ご飯入り豚汁は身体が温まり、本当に嬉しかったです。またゆでたまごのエイドは、フルマラソンを100回以上走った私もここ以外には知りません。


 終わった後はマラソンEXPOでいろいろと楽しめますが、食べ物ブースの数が半端ではありません。地元特産品を始め、B級グルメなどのブースがズラッと並びます。


 昨年の奈良マラソンのTシャツのデザインは、興福寺の阿修羅像でした。大変評判が良かったものです。
 今年はTシャツの色に凝りました。鹿のデザインですが、「青丹」色です。

 完走メダルは、私がこれまで貰った中でもトップクラスの素晴らしいデザインでした。正倉院御物の琵琶をデザインしたものです。
 逆に完走タオルは原色調で、南国の大会でも貰えそうでした。




20年目のありがとう、神戸マラソン2014

 今年の神戸マラソン参加者は、ナンバーカードと一緒に黄色い手袋を受け取りました。スタート前のセレモニーで両手を挙げ、ヒマワリの花を咲かすためです。
ヒマワリは復興のシンボルだそうです。



 スタートゲートの後ろには、紅葉し始めた六甲山が青空をバックに輝いていました。
 今年も日医ジョガーズの医師40名と救急救命士が、メディカルランナーとしてコースを監視しながら走りました。


 
 コースの所々では美しく紅葉した木々がランナーの目を楽しませてくれました

 写真中は須磨浦公園で、毎年この公園の前では源平合戦の武者装束で応援してもらえます。



 
神戸マラソンでも他の大会のように仮装ランナーは結構見られます。しかしこの馬の仮装はどの大会でも見たことはありません。
 しかし明石大橋の折返し付近では、馬は相当疲れているように見えました(中)。
 また右のユルキャラのランナーと会ったのは40㎞付近で、よくあの恰好でここまで来たものだと感心しました。



 神戸の震災で最も被害の大きかったのは長田地区で、ここではとくに大きな声援を戴きました。鉄人28号の絵を持っています(左)。
 また須磨(中)や折返しの垂水(右)も、応援がいつも賑やかです。




 レースも終盤になると下のような応援も出てきます。
 いつもながらポートアイランドへの橋の上から見る神戸の街は最高です。橋を下ればゴールが待っているせいもあるでしょうか。
 しかしここでも救急搬送の場面が見られました。


 いよいよゴールです。ゴール付近も紅葉した木々がランナーを迎えてくれます。
 今年の完走タオルにもありました。20年目のありがとうが。

 
 神戸マラソンは今年で第4回を迎えました。これまで幸いに心肺停止の事故は起こりませんでした。
 しかし今大会では初めて心肺停止を起こした選手が出ましたが、丁度日医ジョガーズの先生が近くにおられ、AEDを使用して蘇生、回復されました。







最後尾からの大阪マラソン2014

 大阪マラソンの制限時間は、東京マラソンや神戸マラソンと同じ7時間です。これら大きな大会はテレビで中継もされますが、先頭集団以外が映ることは殆どありません。でもドラマがあり感動が強いのは、むしろ後方の一般ランナー達です。
 過去3回の大阪マラソンでメディカル・ランナー医師として参加し、いつも最後方のしんがりを務めてきました。最後方集団のランナーの様子を今回はご紹介します。

 今年も良い天気に恵まれました。青空が素晴らしいです。
 大阪マラソンでは他のマラソン同様に、申告タイム順にスタートブロックが指定されます。
 3万人のランナーが、Aから最終のQまでのブロックに分かれて順にスタートします。

 最後尾のプラカードの横にはTVカメラを引き連れたタレントが走っていました(写真右)。



 スタートゲートの通過した時には、時計はすでに29分11秒でした(左)。スタート直後はさすがにみんな颯爽と走り始めました(中)。でも3㎞地点では・・・(右)



 御堂筋に入ると反対側を早い選手が走ってきます。足の運び方が違うのがよく分かります。

 淀屋橋で右折し10㎞地点を過ぎると、次の関門があります。選手は時計を気にしながら走ります。
 
片町で折り返して帰って来ると、10㎞付近に収容車両の列が追って来ています。選手にはプレッシャーです。

 難波の交差点を右折して、これから大阪ドームに向かいます。左端にはストレッチしているランナーが見えます(左)。
 このすぐ先に熱中症で倒れているランナーと遭遇しました。痙攣を起こし、脈拍も弱かったので救急車の出動を要請し、救急搬送しました。


 救急車がなかなか来なくて時間を取られ、次の関門が危なくなりそこからダッシュしました。2分前の通過です(中)。

 コースで最初の給食ステーションは23㎞地点ですが、この時間ではゴミと空箱だけです(右)

 3万人が走る大会ですので救護体制には万全を尽くし、救護所は全部で19カ所設置されています。
 写真左は26㎞付近の救護所で、筋肉痛や痙攣などの人が救護所の外まで溢れています。
 
 30㎞付近でも救急搬送されるランナーを見かけました。
大阪マラソンの人気の一つに、32㎞で地元商店街から選手にいろいろなご馳走が振る舞われるエイドがあります。
 最後方グループのランナーが着く頃には、殆ど残っていません。だた遅い選手用に残された桜餅があり、嬉しかったです。

 残り5㎞の表示は丁度南港大橋の上り口付近です。自分以外には走っているランナーはいなくて、変な目で見られているような気がしました。

  40㎞地点に到達すると、選手はほっとします。気持ちにも余裕が出てきて、記念写真を撮る人もあります。

 ゴールが近づくと応援の人波と歓声が沸き立ちます。
 あと220mの表示を見て、これまで歩いていた選手も走り出します。


 ゴールの感動は何度フルマラソンを走っても、衰えることはありません。時間が遅くなるほどそれは高まります
 今大会でも7時間丁度でゴールを駆け抜けた女性選手がありました。そこにいた大観衆から大歓声が沸き起こりました

 
 大阪マラソンの救護体制に、メディカル・ランナーによるコース上での選手の安全管理があります。今年も45名の日医ジョガーズの医師が参加しました。

 熱中症などによる救急搬送件数は過去最高でしたが、幸いにAED使用が必要な心肺停止などはありませんでした。