ある糖尿病患者のぼやき

「そらな、ワシは糖尿病かもしれん。そやけどみんなそんなに糖尿、糖尿言わんでもええやないか。ワシは別に悪いことしたわけやあらへん。」

「言われたら自分でもちょっと肥えて腹が出てるし、酒もよう飲むと思う。でもな、ゴルフしたらよう飛ぶし、みんなからは元気そうでどこが糖尿やて、聞かれるくらいや。」

「糖尿が悪かったら、のどが乾いてしょっちゅうオシッコに行くのとちゃうんかいな。糖尿になった芸能人なんかゲソっと痩せてしもてる。ワシはそんなこと全然あらへん。」

「それから糖尿になったら目とか腎臓とか神経がやられるいうやないか。ワシは目もよう見えるし、顔がむくんだりもせーへん。足が痺れることもないし、インポにもなってへんわい。」

「医者に行ったらすぐに血抜きよる。血糖が高いとか、ヘモグロビン何ちゃらが高いとか言いよる。ヘモグロビン何ちゃらがこの前は9くらいて言われたけど、正常より3ほど高いだけやないか。」

「食事かてワシなりに気を遣てんねんで。缶コーヒーやめてウーロン茶にしてるし、ウドン定食のご飯も少し残してる。そやけどワシらみたいに身体使う商売は、野菜だけ食ってたら力が出ん。やっぱり肉食わなあかん。」

「運動も最近は週1回ゴルフに行ってる。カートに乗らずに全部歩いてラウンドしてるんや。運動した後のビールと焼肉は最高や。」

ある医者のつぶやき

「本当かうそか知らんけど、古武道の技に3年殺しとかいうのがあるそうや。その技をかけられると、3年位経ってから急にコロッと逝ってしまうらしい。そうすると糖尿病は10年〜20年殺しの病気や。ちょっと肥えてるくらいで痛くも痒くもないけど、急に目が見えなくなったり、脳梗塞で半身不随になったり、心臓でコロッと逝ったりするから怖いねん。」

「今どき、のどが渇いたり急に痩せるほどひどい糖尿病はそうあるもんやない。症状がない糖尿で、10年〜20年殺しは充分や。」

「糖尿病の三大合併症のことは一応知ってんねんな。網膜症は相当悪なるまでは眼底検査せなわからんし、腎臓もそうや。何か症状が出るのはかなり進行してからで、その時にはもう殆ど元に戻らへん。」

「ヘモグロビンエーワンシーを知ってるだけましや。これは検査前1ヶ月かそれ以上の毎日の血糖を、全体的に表す検査や。それだけにごまかしが効けへん。数値は熱に例えたらようわかる。正常は6以下やけど、7を超えると微熱で37℃、8になると38℃、9やったら39℃で重症や。」

「缶コーヒーは思ったより糖分の多い飲み物で、ウーロン茶にしたのは賢い。そやけど身体を使うから肉が必要ということはあらへん。菜食主義のスポーツ選手は一杯いてる。単に肉を食いたいための言い訳に過ぎん。」

「週に1回のゴルフなんて運動の内に入れへん。一回次の運動療法室をのぞいてみい。」

ある肥えたおばちゃんの言い分

「そらわてかて女の端くれやから、痩せてスマートになりたいと思てます。そやけど先生、うちは水飲んでも肥えるたちですねん。何んぼ苦労しても体重減りませんねん。」

「ご飯なんか茶碗に半分位に減らしてます。前は1杯半は食べてました。それでも体重減りません。おかずでっか。そっちは変わりません。主人が野菜とか魚が嫌いで、どうしても肉のおかずが多いですわ。」

「甘いものもできるだけ控えてます。そやけど仏さんのお供えは切らしたらまずいでっしゃろ。そのお下がりの和菓子なんか、今の若い人は食べしません。どうしてもわてが食べなあかんようになってしまいます。」

「果物は身体にええて聞いてるからよう食べます。テレビでも、果物の糖はブドウ糖と違うから糖尿の人でもええて言うてましたわ。」

「夏はアイスクリームが好きで、毎日食べてます。そやけどその分、ジュースやコーラなんか減らしてます。」

「体のほうもよく動かしてます。掃除や洗濯で家の中を走り回って、その後で買い物に遠くまで出かけます。自転車で20分位かかるとこまで行きますねんで。」

「膝のほうも悪いので、整形の先生にもかかってます。その先生からも体重落とせ、体重落とせて言われてますねん。いろいろ苦労してるのに、体重減りまへん。何ぞええ方法おまへんやろか。」

医者からひと言

「水飲むのんやめたら、痩せるのとちゃいますか。」

おばちゃんのための参考データ
　食品のカロリーとそれを消費するための運動量